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ウヴェ・フリック著、小田博志監訳『質的研究入門 〈人間の科学〉のための方法論』改訂版第11章(要約)

ウヴェ・フリック著、小田博志監訳『質的研究入門 〈人間の科学〉のための方法論』改訂版第11章(要約)

サンプリング戦略について。

ちなみに10章 フィールドへのアクセスは以下。
質的研究者の期待とアクセスの問題
開放的なフィールドに入るときの役割の定義
機関/施設へのアクセス
個人へのアクセス
未知性と自明性

フィールドへの参入の仕方により得られるデータが変わること、フィールドへの参入とは「フィールドに自分を位置づけ、また相手から位置づけられる複雑なプロセス(p.137「キーポイント」より引用)」である。

理論的サンプリング
理論的サンプリングは質的研究における代表的サンプリング方法である。理論的サンプリングは統計的サンプリングと対比して理解される(理論的サンプリングが質的研究と、統計的サンプリングと量的サンプリングとがおおむね対応する)。
理論的サンプリングはその実、GTA(グラウンデッド・セオリー・アプローチ)提唱者グレイザー&ストラウスの開発した一手法である。(後述するが、本章では理論的サンプリング以外に2つの手法が補助的に解説されている)

表11.3 理論的サンプリングと統計的サンプリング
理論的サンプリング 統計的サンプリング
基礎的な母集団の範囲が事前に分からない 基礎的な母集団の範囲が事前に分かる
基礎的な母集団の特性が事前に分からない 基礎的な母集団の特徴の分布が予測できる
段階的に基準を定義してサンプリング要素を複数回にわたって引き出す 事前に定義した計画に沿ってサンプルを一度に引き出す
サンプル数は事前に決まっていない サンプル数は事前に決まっている
サンプリングは理論的飽和に至った時に終わる サンプリングは全てのサンプルが調べられた時に終わる
  出典 : Wiedemann 1995: 441


表11.3より筆者改変

理論的飽和
理論的サンプリングのサンプリング終了の基準は「理論的飽和」とよばれる。理論的飽和とは、新しいサンプルを検討しても何も浮かび上がらなくなった状態をいう。

この項には、サンプリングは範囲を選択することと、いつやめるかを決めることが大変だ、みたいなことが述べられていた。(どっちも苦手な私は)読みながら百回くらい頷いていた。わかる、それが大変。

理論的サンプリングにみられる「サンプリングの段階性」(と、その質的研究における一般性)
そう、理論的サンプリングは質的研究におけるサンプリングの一手法でありながら、代表的サンプリング方法ともみなされているのだ。その理由の1つが「サンプリングの段階性」だ、ということなのだろう。

駆け足ですが、次回はリサーチデザインになると思います。