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ウヴェ・フリック著 小田博志訳『質的研究入門』をあとがきより概観

本書が質的研究の入門書の中で占める位置づけ、また質的研究自体が社会学の中で占める位置づけについて日本での文脈を記した「解説(訳者)」が参考になるので折に触れて参照したい。 そもそも日本での社会科学の位置づけが世界でのそれと大きく異なる(はっきり言うと、心理学以外の社会科学が軽視されている)のだから当然だが、海外での質的研究の位置づけと日本でのそれが異なる。そして今の岸氏の著作の売れ方をみると、これから日本がますますガラパゴス的な状況に陥っていく可能性もあるだろう。注視したい。

その他、「解説」の中で個人的にメモっておきたい点 ・pp.607-608「質的研究とは、その通りに実施すべき、標準化された手順ではない。」「本書の重要なメッセージは『研究対象に適した手法を選ぶ』という指針である。」「本書に紹介されている具体的な方法を決められた選択肢とは考えずに、むしろヒントとして捉えた方がよい。」 pp.607-608「質的研究とは、私たちが何かを知るためにとっている『ふだんの方法』を再発見し、活用するものである(本書p.148参照)。だから本書に出てくるいろいろな方法を、日常の場面に引きつけながら読むと、より地に足のついた理解ができるだろう。逆に、それら質的方法を『杓子定規に従うべき決まり』とは考えない方がよい 」

参考:質的研究のデザイン