bs.fukufuki

bookshelf of fukufuki 留学、英語、物語、よしなしごと

精神分析読書会 2018/07/12「転移神経症概観」

活動内容

  • 「転移神経症概観」に登場する神経症・精神病について、フロイトや同時代人の症例録を各自、よみ発表した。

目標

  • メタサイコロジー論のもとになったフロイト初期理論に密接に関連し、また〜メタサイコロジー論に至るまで通底する、フロイトの症例理解について知ることで、今期の読書会で学んだ(メタサイコロジー論の提唱時≒中期の)フロイト理論を復習しつつ、違った角度から理解を深める。 (パラノイア、ヒステリー等、現在の精神科では扱わない独特な用語もある&ラカンの「普通精神病」ではないが時代とともに精神病のあり方も変わっているので、医学生にとってもフロイト理論理解の大きな助けになりました)

メモ(「転移神経症(草稿)」の本文について)

  • 倒錯 →「欲動とその運命」を参照

  • 転換ヒステリー →cf. 解離ヒステリー

http://criticon.blog.fc2.com/blog-entry-148.html http://home.u02.itscom.net/fukumoto/hp/shyohyo/archives/imago92-6.html https://ci.nii.ac.jp/naid/110000458983 http://knon.hatenablog.com/entry/2014/08/07/223934

症例の調べ物発表

シュレーバー症例録(パラノイアの例)

参考: https://kseminar.exblog.jp/16146981/

  • 「妄想とは回復の試みである」

世界からのリビドー撤収(愛された対象からも)=ナルシシズムへの移行 →世界が「のっぺりした」ものになる →投射を用いて世界との関係を回復しようとする=妄想

アンナ・O(転換ヒステリーの例)

  • 父親の看病をしていた
  • 症状が出た後にブロイラーの治療 →父親の死で症状が再燃

  • 多言語に堪能、論理的、頭がいい、が性的には未発達

  • 自分のつくった物語をしゃべる癖がある

  • 母語(ドイツ語)が話せなくなる、間違った発語しかできない、冠詞しかしゃべれない →イタリア語で話す

以下、アンナ・Oの症状(なかなか派手ですね……) * 視覚障害 * 幻覚 * ネガ幻覚:あるはずのものが見えない * 手が動かない * 耳が聞こえない * 水が飲めない、家庭教師への不満を言うと飲めるようになる * 話すことで症状が改善する * 1年前の日記について話し出す。「服の色がおかしい」というと思ったら1年前の記録と関係していた * 症状から回復すると、症状があったとき私はそれを「後ろから見て」いた。悪いことをしようとしてそれをした、病気ではない、と言う

ハンス少年(恐怖症の例)

  • 馬が怖い
  • お父さんへのエディプス的感情を馬に仮託していた …馬に例えられたのは父に髭があって馬に似ていたから(連想)
  • ハンスが性器をいじったときにお母さんに注意された
  • 「お母さんと一緒に寝たい」と思うほどお母さんが好きだった
  • お母さんとでかけたとき「倒れた馬」を見た
  • 死にそうな馬とお父さんを同一化 →馬が怖かったけどもう大丈夫 →自分がお父さんを噛みはじめる →「自分がお父さんを噛めるということはお父さんも自分を噛めるんだ」(後ろめたさから、罰としてお父さんが自分を噛むと発想した)
  • お父さんは敵、お母さんは性行為ができる いずれも抑圧された思念、だが5才児だからわからず →それが「馬」として現れた (連想からの「遠い表象」が意識に現れる、という理論との関連、エディプスコンプレックスとの強い関連を感じる。読書会でも、わかりやすいエディプスコンプレックスの症例だね、との意見が多かったです。フロイトがこの症例からエディプスコンプレックスへの洞察を深めただけでなく、当症例報告自体、フロイトの当症例理解と自説とが渾然一体となっているのでしょうが)