(抜書メモ)人工知能学会「メタファー写像と後編集を利用する物語文章生成フレームワーク」
bsfukufuki.hatenablog.com 前記事↑の学会発表内容に
JSAI2018/Search for presentations
上記↑の学会発表抄録の内容を加えた抜書です。
(以下、引用ブロックはすべて抄録よりのものです)
研究の特色
先行研究(言語処理学会「人狼ログからの小説の自動生成」など)では「物語の作成を "1. 物語内容 (story) の決定: 何を語るか 2.物語言説 (discourse) の決定: どのような構成・技法を用 いるか 3.文字列化: 内部表現をどのように表層文字列に変換するか の流れで実現しようとする" 点が共通していた。 本研究は「メタファー」を用いて、まったく違ったアプローチで物語文章の生成を試みる。
わからなかった用語
- メタファー写像
- 概念メタファー理論(認知言語学)
- フレームワーク
- テンプレート列
- 連続尤度?
- 独自内部表現
- 数値行列
- コミュニティ共有の評価
- 意味領域(根源領域)、意味領域(目標領域)
- 狭い意味でのフレーム問題
- モジュール、サブモジュール
引用
一般に、あるシステムが複数の構成要素 (モジュー ル) からなる場合、全体の評価とモジュールごとの評価が可能 である。コストや方法論などの面においてシステム全体の評 価が難しい場合でも、モジュールごとの自動評価が相対的に容 易であれば、各モジュールの性能を向上させることにより、ひ いては、システム全体の性能を向上させることができる。
メタファー写像に関して、Lakoff [7] は、 「写像において、根源領域の表現間の(位相)構造は目標領域内でも保たれる3 。」という不変性原理を提唱した。
※このLakoffの理論は認知言語学の古典ともよぶべきものである。 “概念メタファー(がいねんメタファー)とは、認知言語学の用語で、「ある概念領域を別の概念領域を用いて理解する事」と定義される。ジョージ・レイコフとマーク・ジョンソンによる Metaphors We Live By で提唱された。同書では通常メタファー(隠喩)とは考えて来られなかった日常言語が取り上げられ、それらの背後にある概念メタファーが次々にあばかれる。”(「概念メタファー−Wikipedia」より)
メタファー写像に関して、Lakoff [Lakoff 93] は、「写像にお いて、根源領域の表現間の (位相) 構造は目標領域内でも保た れる ∗1。」という不変性原理を提唱した。この原理に則ると、 任意の2つの意味領域間において数個のメタファー写像の存 在が確認されれば、根源領域内の他の表現も位相構造を保った まま目標領域内に対応づけることができる見込みが非常に高 い。言い換えると、次の 2 つのことが成り立つ見込みが非常 に高い。 * テキストのジャンルを問わず、数個のメタファー写像の 存在が確認されれば、表 1 のようなデータベースが高い品質で構築できる * ゲームやシミュレーター内に実装されている種々の制約 や論理が、物語文章生成においても制約・論理として働くので、物語の展開において、「狭い意味でのフレーム問題」[人工知能学会 05] を回避できる 我々は、これらの成立の検証も兼ねて本研究を進めている。
認知言語学の概念メタファー理論において、メタファーは2つの意味領域間の連結であると捉えられる。
関連文献
認知心理学の概念メタファーについて
- [メタファーと認知: http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~mogami/metapher94.html]
- http://www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~booomweb/Classes/Glossary.htm
- George Lakoff他『Metaphors We Live By』(邦訳『レトリックと人生』)
- 今井むつみ『ことばと思考』岩波新書
- Richard Toye, “Rhetoric: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)”
修辞学について
- 三木清『解釈学と修辞学』
- 佐藤信夫『レトリック感覚』『レトリック認識』
本書がスゴいのは、レトリックの説得効果と美的効果を解きなおしたからだけではない。三つ目の視点、創造的認識のメカニズムを探り当てたところにある。(「『レトリック感覚』と『レトリック認識』はスゴ本: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」より) dain.cocolog-nifty.com