bs.fukufuki

bookshelf of fukufuki 留学、英語、物語、よしなしごと

(備忘メモ)精神医学史(精神療法史)の参考文献

授業で聞いたもの+αです(ほぼ授業の参考文献そのままです、私のオリジナルではありません)。

アンリ・エレンベルガー(著)中井久夫木村敏(訳)『無意識の発見 上/下 - 力動精神医学発達史』

無意識の発見 上 - 力動精神医学発達史

無意識の発見 上 - 力動精神医学発達史

無意識の発見 下 ? 力動精神医学発達史

無意識の発見 下 ? 力動精神医学発達史

膨大な一次資料から、フロイト以前の精神療法の系譜を辿る本だそうです。
著者もそうですが、日本語版の訳者が豪華すぎて目を剥きました。

ピエール・ジャネ『心理学的医学』

心理学的医学

心理学的医学

フロイトの時代に精神病理学の大家であったピエール・ジャネの著作。
ジャネは「精神療法とは、患者の治療に際して心理学を応用することである」と述べたそうです。
ここでの「心理学」が厳密に何を指していたのかは、上の本を読む他ないのでしょう。
精神療法の位置、精神を取り扱う医学はどうあるべきかといった内容…なのかな?

ヒステリーの歴史

ヒステリーの歴史

ジャネ自身については上の本が詳しそうでした。

説得と治療:心理療法の共通要因

説得と治療:心理療法の共通要因

また支持的精神療法の歴史について、ということでご紹介いただいたのが上です。
「支持的精神療法」というとらえどころのないものがいかに確立され、いかに他分野と緊張関係にあるのか(なかでも、臨床心理士の活躍と精神医学からの独立を抜きにこの話題を語ることはできないでしょう)について、個人的には知りたいです。

以下、自分で勉強不足と思った点。
フロイトと同時代を生きたというDuboisが精神分析に対してどのような態度を取ったのか
・日本ではしばしば森田療法の批判対象としてのみ紹介されるDuboisの評価理論の歴史的背景
・動物生気説と催眠療法の密接な関連
MBT(メンタライゼーション理論を取り入れた精神療法)は精神分析的実践なのか
→そのままの文献がありました。参考に上げておきます。
http://www.tiu.ac.jp/about/research_promotion/kiyou/pdf/16_clinicalpsychology_4.pdf

この沼も深そうですね…。精神医学史の一方に強制収容や私宅監置の歴史がありますが、他方、精神分析まわりの歴史は思想史の観点から整理が進んでいるのでしょう。個人的には、近年の臨床心理士の独立と、精神医学−臨床心理学の分離の歴史について、「精神療法」なるものの主導権をめぐる争いとして読めそうだな、というところがあって面白そうだと思っています。まだまだ勉強不足ですが。